印刷

オフセット印刷とオンデマンド印刷の違い、説明できますか?

印刷物を発注するときに、知っておきたい知識として「印刷方式」があります。
印刷方式を理解していれば、利用目的に応じた使い分けや適切なコスト管理もできそうです。
ここでは、印刷の版式や印刷方式ごとの特徴について、解説します。

印刷方式の使い分け

これから5つの印刷方式についてご紹介しますが、それぞれに得意、不得意があり、印刷物の用途や仕様、数量、仕上がり品質などによって、使い分けることが大切です。この「使い分け」のために、印刷方式ごとの得意、不得意、代表的な用途について確認しておきましょう。

凸版印刷(活版印刷・フレキソ印刷)

凸版による印刷は、輪郭が鮮明で安定した仕上がりとなるため、文字を中心とする印刷物に適しています。また、版が樹脂製で柔軟性があるため、ダンボールなどの表面に凹凸がある素材にも印刷刷することが可能です。さらに印刷時に版に対して圧力がかかるため、独特の風合いを与え、和紙などの印刷にも適しています。ただし、プロセスカラー(4色印刷)の網点の再現性は、後述するオフセット印刷に比べるとやや劣ります。主な用途としては、名刺やダンボール、封筒などのほか、シールやラベル、フィルムなどの印刷にも使われます。

凹版印刷(グラビア印刷)

金属製の版を使うため、耐久性が高く大ロットの印刷に向いています。また、凹部の深さによって、階調や濃淡などの調子を繊細に表現することができるため、カラー写真の印刷に適しています。インキを厚く盛ることができるので、他の方式では得られない印刷濃度が出せるという長所もあります。反面、版の制作費(製版代)が高くなり、小ロットに対応できないという欠点もあります。主な用途としては、雑誌のグラビアページや写真集、証券類などに使われるほか、フィルムやPP封筒、包装紙などの素材にも使用できます。

孔版印刷(スクリーン印刷)

紙だけではなく、布やフィルム、プラスチックやガラスなど、幅広い素材に適合する印刷方式です。他の印刷方式では困難な曲面への印刷も可能で、耐光性も高いため、屋外に長期間掲示するものにも利用されています。欠点としては、網目を通すために細密な印刷やプロセスカラーの印刷は得意ではありません。主な用途としては、Tシャツやエコバッグなどのノベルティグッズや屋外看板やクルマ用のステッカー、工業用途の曲面印刷などにも使われています。

平版印刷(オフセット印刷)

新聞や雑誌、書籍などの出版物やパンフレット、チラシ、ポスターなどのほとんどの印刷物に、幅広く利用されている一般的な印刷方式です。写真やイラスト、文字などを、細密に描写し、鮮明に表現することも得意です。大ロットから小ロットの印刷まで対応可能ですが、小ロットの印刷では割高になる傾向があります。

無版式印刷(オンデマンド印刷)

小ロットの印刷物を短納期で仕上げることが得意な印刷方式です。少ない部数の印刷でもコストを抑えて印刷することが可能なため、在庫を抱えることなく、必要なときに必要なだけ印刷することができます。ただし、印刷枚数が増えるほどコスト高となってしまいます。1枚ごとに印刷内容が異なる宛名台紙の印刷などでは、データを連続的に入れ替えながら必要な部数だけを印刷することができます。

印刷の版式による分類

印刷機を使って印刷する場合、その多くは紙などに直接インキを付けるのではなく、あらかじめ色数に応じた「版」を用意して、この版面に付着させたインキを紙などに転写することで印刷します。この版は「刷版(さっぱん)」とも言います。この版を使う印刷方式を「有版式」と言い、版を用いない「無版式」と区別します。

有版式印刷の種類

有版式には「凸版」、「平版」、「凹版」、「孔版」という4つの版式があります。まずは、それぞれの版の構造とインキの転写方式の違いについて理解しましょう。

凸版印刷(活版印刷・フレキソ印刷)

凸版印刷には、図のように凹凸のある版を使います。凸状の部分にインキを付着させて、紙などに直接転写します。印鑑の押印や版画などと同じ原理ですね。文字の組版に合金製の活字を使う活版印刷や版材に樹脂板やゴム板を用いるフレキソ印刷があります。

凹版印刷(グラビア印刷)

凹版印刷でも、凹凸の版を使います。まず版面全体にインキを付け、凸部分についたインキを取り除くことで、版のへこんだ部分のインキだけを残して、これを転写します。版材の耐久性が高く、大ロットの印刷に向いています。また、インキを厚く盛ることができるため、他の版式では得られない印刷濃度を表現することができます。

孔版印刷(スクリーン印刷)

孔版印刷は、版に孔(あな)をあけて、その孔を通してインキを紙などに転写します。ガリ版と呼ぶこともある「謄写版(とうしゃばん)印刷」も、この方式です。「スクリーン印刷」も孔版印刷の一種で、版材には化学繊維などのスクリーンを利用し、これに微細な孔をあけて製版します。

平版印刷(オフセット印刷)

平板印刷では、凹凸のない平らな版を使います。水と油(インキ)の相性の悪さを利用してインキを転写させる方式です。版材のインキを付着させたくない部分にあらかじめ親水性(水と馴染みやすい状態)を持たせ、水を塗り、次にインキを塗ると、水と油(インキ)が反発する特性により、絵柄部分にのみインキがのります。このインキを、樹脂やゴム製のブランケットに転写(OFF)し、さらにブランケットから紙などに転写(SET)することで印刷します。このため、この印刷方式をオフセット印刷と言います。

無版式印刷(オンデマンド印刷)

無版式とは、版を使わない印刷方式です。パソコンで作成したデジタル組版データから直接印刷します。レーザープリンターやインクジェットプリンターによる出力は、この無版式の印刷になります。無版印刷では、データを連続的に入れ替えることで、異なる文字やデザインを連続的に、必要な量だけ印刷することができます。このため、オンデマンド印刷とも呼ばれています。

まとめ

今回は、5つの主な印刷方式をご紹介しましたが、それぞれの方式の違いと得意、不得意についてご理解いただけましたでしょうか。それぞれの長所、短所を見極め、印刷部数や納期、印刷対象となる素材などを考えながら、印刷を依頼してみてください。

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