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印刷物の用紙選択、何を基準に選べばいいの?

印刷用紙の選択は、印刷物の仕上がりを左右する大切なポイントです。
選択する印刷用紙によって、インキの発色や濃度も違うために、
同じ原稿(印刷データ)でも、印象が異なる印刷結果となります。
ここでは、代表的な印刷用紙の種類とその選び方について、解説します。

印刷用紙の種類

印刷用紙は、「非塗工紙(ひとこうし)」と「塗工紙(とこうし)」とに大きく分類されます。

非塗工紙とは、木材パルプを主原料に各種添加剤を加えて、印刷に適した品質を実現したもので、化学処理によって不純物を取り除いた化学パルプだけを使った「上質紙」をはじめ、化学パルプの配合割合によって「中質紙」「下級紙」などがあります。文字通り、コート剤の塗布はありません。

一方、塗工紙は、表面にコート剤を塗布することで、表面の白さや平らで滑らかな度合い、インキを受け付けやすさなどを高めた印刷用紙です。塗布するコート剤の特性や塗布量によって、「アート紙」「コート紙」「マットコート紙」などがあります。

上質紙

化学パルプだけを使って製造された印刷用紙で、非塗工紙のなかでは最上位のグレードです。コート剤が塗布されていないため、ボールペンやサインペンなどでも書き込みやすく、インクも乾きやすいという特性があります。

アート紙

一般に、上質紙をベースに、光沢が出るグロス系のコート剤(40g/m2程度)を塗布した用紙を、アート紙と言います。表面の白さや平らで滑らかな度合いはともに高く、写真を中心とした原稿でより色彩かな印刷結果が得られます。

コート紙

上質紙などをベースに、グロス系のコート剤(20g/m2程度)を塗布した光沢のある用紙です。アート紙と同様に、写真を中心とした原稿でより色彩かな印刷結果が得られます。アート紙との違いは、コート剤の塗布量の差にあり、より多くのコート剤を塗布したアート紙のほうが、光沢や平らで滑らかな度合いが高くなります。また、同じ斤量(重さ)のコート紙とアート紙を比較すると、コート紙のほうがベースとなる上質紙の割合が多く、湾曲させたときの反発力や剛性が高いため、「コシがある」と言われています。

マットコート紙

上質紙などをベースに、マット系の塗料を塗布した用紙です。コート紙よりも平らで滑らかな度合いは低くなっていますが、その分、光沢が抑えられて、しっとりと落ち着いた印象を与えます。また、光沢が抑えられているために、文章などを時間をかけて読み込んでも目が疲れないと言われています。

 

印刷用紙の選び方

印刷用紙には多くの種類がありますが、それぞれの特性を理解してさえいれば、印刷物の種類や目的にふさわしい用紙選択が可能になります。ここでは、代表的な印刷用紙ごとに、想定される使用方法についてまとめてみます。

上質紙

上質紙は、コート剤が塗布されていないために、パルプ自体の素材感やザラザラとした質感を生かした印刷物となります。ただし、表面の塗工がされていないため、色が沈んで少し暗い印象の仕上がりとなることがあります。また、鉛筆やボールペン、サインペンなどでの筆記性に優れています。

⇒有機栽培の食品を扱うショップやナチュラルな素材でつくられた商品のチラシやフライヤー、パンフレットなどに使用すると効果的です。

⇒申し込み用紙や返信ハガキ、スタンプカードなど、書き込みや押印を前提とした印刷物に適しています。

 

アート紙

表面に光沢があり、平らで滑らかな度合いの高い用紙で、彩度の高い印刷結果が得られます。カラー写真や緻密なイラストなどを広範囲に使用する印刷物で多く使用されています。ただし、文字の書き込みには向いていません。

⇒写真集や美術書など、カラー写真やイラストなどを、原稿に忠実に美しく再現したいときに使用したい用紙です。

⇒ポスターやカレンダーなど、写真をメインに扱う印刷物で、鮮やかな発色の写真を美しく表現したいときにも使用します。

 

コート紙

表面に光沢があり、色鮮やかな印刷結果が得られます。写真を多用するチラシやパンフレット、週刊誌の表紙など、多くの印刷物に使用されています。ただし、文字の書き込みには向いていません。

⇒食品を扱うお店などのチラシやフライヤーなどでは、使用する写真の発色や色合いが商品のイメージを左右する場合があります。このような印刷物では、色鮮やかな印刷結果が得られるコート紙を使用することが多いようです。

⇒写真の発色やイラストの再現性を重視する場合には、コート紙を選択します。

⇒流通量が多く、入手の容易さ、コスト面からコート紙を選択する場合もあります。

 

マットコート紙

アート紙やコート紙に比べて、光沢が抑えられたマットコート紙は、印刷物として落ち着いた印象の仕上がりとなります。光沢が抑えられているため、カラー写真などを多用するデザインには向いていませんが、文字原稿をしっかりと読み込んでもらいたいときには、効果的です。また、文字の書き込みも可能です。

⇒会社案内や学校案内など、写真と文字が混在しているパンフレットや商品のカタログなどに適しています。

⇒文字原稿をしっかりと読んでもらう必要がある不動産のチラシや工業製品のカタログなどにも使われることが多いようです。

⇒落ち着いた印象を与えるために、高級感のある上質な商品やサービスを紹介する印刷物にも適しています。

 

まとめ

今回は、代表的な印刷用紙の種類と選び方について解説しました。ここに挙げた用紙以外にも、「特殊紙」をはじめ多くの紙の種類があり、それぞれの製紙メーカーには、その種類やグレードごとに多くの銘柄(商品名)が存在します。印刷物の目的に応じて、ふさわしい印刷用紙を選ぶためにも、紙見本や印刷サンプルを取り寄せ、その質感や印刷結果を事前に確認しておきましょう。

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