DMの作り方5ステップ
ダイレクトメール(DM)とは、特定の個人や法人に向けて、ハガキや封書などの印刷物を直接送付するマーケティング手法のことです。
実際にDM施策を実施するには、まず発送する「印刷物」を作成する必要がありますが、どのように作ればよいかわからない方もいるでしょう。ここでは下記の5段階に分けて、DMの基本的な作り方を紹介します。
1.目的とターゲットを明確にする
2.文章を作成する
3.デザイン・レイアウトを決める
4.印刷して発送する
5.効果測定を行う
※DM施策には電子メールを含める場合もありますが、本記事では紙媒体にフォーカスして説明します

ステップ1.目的とターゲットを明確にする
DMを作成するにあたってまず重要なのが、「なぜ送るのか」「誰に送るのか」を明確にすることです。 初期段階における目的とターゲットの設定が、その後の全ての工程に影響を与えます。
まず、DMを作成・発送するにあたっての具体的な目的を決めましょう。 目的が曖昧なままでは伝えたいメッセージがぼやけてしまい、受け取る相手に響かないDMになってしまうかもしれません。
ターゲットは、年齢、性別、購買履歴などの属性を詳細に設定しましょう。 具体的なペルソナを描くことで、より顧客に刺さるメッセージを作成しやすくなります。
▼目的とターゲットの例
目的:既存顧客のリピート促進
ターゲット:30代の働く女性で、過去1年以内に自社の化粧品を購入した経験がある
ステップ2.文章を作成する
DMの目的とターゲットが明確になったら、次は文章を作成します。読み手の心をつかむ効果的なDMを作るには、以下の5つの要素を含むことが重要です。
キャッチコピー:読み手の興味を引く
あいさつ文:なぜDMを送ったのかを説明する
訴求:商品やサービスの魅力を伝える
オファー:読み手が得られる特典(割引クーポンやプレゼントなど)
購入や問い合わせのためのツール:読み手の行動を促す(購入用の申込書・QRコードなど)
キャッチコピー
DMを手にした瞬間あるいは開封した瞬間に目に入る、一番重要な要素です。顧客にとってのメリットをシンプルに表現し、興味を引くことを意識しましょう。
▼例文
限定○名さま
今だけ半額
あいさつ文
なぜDMを送ったのかを説明します。 「自分宛てのメッセージだ」と感じてもらえる表現で顧客に語りかけることで、関心をさらに引きつけます。
▼例文
当店で○○をご購入いただいた○○さまだけに、特別なご案内です
訴求
顧客にとってのメリットや商品開発のストーリーなどを盛り込み、商品やサービスの魅力を訴求します。商品やサービスを利用して得られるメリットを想像させる表現が効果的です。
▼例文
年齢を重ねた肌のために、○年かけて開発しました
いつものビールをよりおいしく楽しめるグラスです
オファー
オファーは購入や問い合わせなど、次の行動を促すカギとなる要素です。DMを受け取った顧客が今すぐ行動したくなるような、魅力的な特典を提示しましょう。
▼例文
初回限定20%OFF
送料無料
返品保証つき
ステップ3.デザイン・レイアウトを決める
文章が完成したら、DM全体のデザインとレイアウトを決めていきます。
まず、情報の優先順位を決めて、重要な要素ほど目立つ位置に配置します。特にキャッチコピーが目立つよう、メリハリのあるデザインを意識してみてください。色は多用しすぎないほうが、見た目がすっきりして大事な情報が伝わりやすくなります。
なお、デザインやレイアウトを決める際は、必ずしもイラストレーターやエクセルを使わなければならないわけではありません。デザインスキルがない場合、無料のテンプレートや外注を利用するのも一つの手です。
ステップ4.印刷して発送する
デザインが完成したら、いよいよ印刷と発送の準備に入ります。
印刷にかかる費用は、部数や用紙の種類などによって異なります。DM施策の目的や求める品質、予算を考えて決めましょう。
発送にかかる費用は、サイズや重量、配送方法、部数などによって異なります。
ステップ5.効果測定を行う
DMを発送したらそれで終わりではなく、必ず効果測定を実施しましょう。測定結果を分析することで、次回の改善点を見つけられるはずです。
測定すべき指標の例として、レスポンス率(問い合わせやアンケートの回答など、顧客がDMに反応した割合)やコンバージョン率(商品購入など、顧客が施策の最終目標となる行動を取った割合)などが挙げられます。
レスポンス率:レスポンス数÷DM発送数×100
コンバージョン率:コンバージョン数÷DM発送数×100
レスポンス率やコンバージョン率が高かった訴求は、次回のDMにも活用してみましょう。
DMの反応率を高める9つのコツ
基本的なDMの作り方を理解したところで、さらに反応率を高めるための実践的なコツについても見ていきましょう。
自分宛てだと思ってもらえる文章にする
DMに興味を持ってもらうには、「これは自分に向けて書かれたものだ」と感じさせる工夫が大切です。
例えば、「お客さま」などの一般的な呼びかけではなく、「○○さま」と名前を記載するといった手法が考えられます。
また、「子育てと仕事の両立で疲れを感じていませんか?」など、ペルソナの悩みやニーズに沿った表現を意識すると、顧客に自分事と思ってもらいやすくなります。
さらに、過去の購買履歴や行動データがある場合は、「先日お買い上げいただいた○○はいかがでしたか?」などとパーソナライズした内容にするのも手です。

顧客が得られる具体的なメリットを提示する
顧客が得られる具体的なメリット(ベネフィット)を分かりやすく提示し、「このDMを読めば得をする」「この商品を買うと良いことがある」と思ってもらうことも重要です。
例えば、「高性能な○○機能搭載」という特徴を訴求するよりも、「毎日のお手入れ時間を半分に短縮」「月々の光熱費を○%削減」など具体的なメリットを訴求するほうが、顧客が購入後のベネフィットをイメージしやすいでしょう。
結論ファーストでシンプルに書く
DMでは、結論を先に述べてシンプルな文章にすることを意識してください。回りくどい文章は、顧客からDMを読む気力を削いでしまう可能性があるからです。
例えば、「新商品の○○を50%OFFでお試しいただけます」など、最も伝えたいことを冒頭で述べ、その後に理由や詳細を記載します。この際、専門用語の多用は避け、分かりやすい表現を意識しましょう。
また、一つの文章は短めにして改行や段落を適切に使用することで、視覚的にも読みやすくなります。
伝えたい情報を強調する
本当に訴求したいポイントや読んでほしい部分は、分かりやすく強調しましょう。
例えば、一番伝えたいキャッチコピーに一番目立つ色を使い、スペースを大きくすることで、キャッチコピーが目に入りやすくなります。
また、伝えたいことを図やイラストで視覚的に分かりやすく表現するのもおすすめです。
アイキャッチの配置で興味を引く
アイキャッチとは、視線を集めるデザイン要素のことです。例えば、数字や矢印、色つきの枠などがあります。
これらのアイキャッチを効果的に配置することで視線の流れを誘導できます。例えば、見てもらいたい順番に合わせて数字入りの囲みを使うといった方法が考えられます。
このように、アイキャッチを有効に使うことで、顧客に順序立ててDMを読んでもらいやすくなります。その結果、より深く内容を理解してもらえるでしょう。
目の動きに沿ったレイアウトにする
情報を効率的に伝えるためには、人の視線の動きを考慮したレイアウトにすることも大切です。
視線の流れは、一般的に横書きであれば左上から右下にかけてZ字型、縦書きであれば右上から左下にかけてN字型に動くとされています。
この視線の動きを意識して、順に情報を配置していきましょう。例えば、Z字の始点にキャッチコピー、終点に特典や割引といったオファーを配置するなど。こうすることで、顧客にDMの内容を理解してもらいやすくなります。
開封したくなる工夫を加える
せっかくDMの中身にこだわっても、開封してもらえなければ意味がありません。封書で送る場合、封筒には開封したくなる工夫を加えましょう。
例えば、「今だけ50%OFF」といったオファーを記載したり、透明窓から中身の一部を見せたりする方法があります。また、カラフルな色や特殊な形状の封筒を使用し、他のDM との差別化を図るのも一案です。
ただし、過度に派手すぎるデザインを採用するとブランドイメージを損ねたりペルソナにそぐわないものになったりする可能性もあるため注意しましょう。

あいさつ状を同封する
好感度アップを狙うなら、DMに心のこもったあいさつ状を別途同封してみてください。
宣伝色が強くなりすぎないよう、「DMを送った目的」や「顧客のベネフィット」を分かりやすく説明します。ただし、長文にならないように注意してください。
その他、手書き風のフォントを採用したり顧客の名前で呼びかけたりして特別感を出すのも効果的であると考えられます。
購入や問い合わせのためのツールを同封する
DMには、購入や問い合わせのためのツールを同封しましょう。具体的には、DMへの返信用はがきや申し込み用のFAX用紙、WEB上の購入ページへのアクセスコードなどが挙げられます。
特に高齢者をターゲットとする場合は、WEBサイトのアクセスコードだけでなく返信用ハガキを同封するなど、デジタルに慣れていない顧客でも利用しやすい方法を提供しましょう。
購入や問い合わせのためのツールを同封することでコンバージョンを促せることはもちろん、DMの反応や効果を測定するのにも役立ちます。
なお、マイナビサポートでは個別のQRコードで開封を可視化するQRコード開封通知サービスを提供しています。QRコードが読み取られると即座にメールで通知されるため、顧客の関心が高いうちにアプローチすることが可能です。印刷から発送まで一括で対応しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
※QRコード開封通知サービスは、ハネソル株式会社「キューRクラウド」を利用しています。
マイナビサポートへのお問い合わせはこちら

DMの作り方に関するよくある質問
最後に、DMの作り方に関するよくある疑問にお答えします。これらの情報を参考に、自社に適した方法を探してみてください。

DM作成は自社でやるべき? 委託 すべき?
DM作成を自社で行うか委託するかは、リソースや求める効果などのバランスを考慮して判断しましょう。
自社で作成する場合のメリットは、ノウハウを蓄積できることです。継続的にDMを送る予定があるなら、社内にノウハウを蓄積することで、その後のDM作成に生かせます。また、社内であればスケジュールの融通が利きやすいのもメリットです。
一方、専門知識やデザインスキル、リソースが不足している場合は、委託も有効な選択肢です。特に初回のDMや重要な施策では、プロのノウハウを活用することで、高い効果を得られる可能性があります。
なお、マイナビサポートではDMの作成や発送代行を承っています。マイナビ独自のノウハウで、デザインから印刷、発送までトータルに対応可能です。開封率の高いDM作成をサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
コストを抑えるには?
DMにかかるコストを抑えるには、印刷注文時や発送時に以下の工夫を検討してみましょう。
・部数の最適化:むやみに多くの部数を作成するのではなく、ターゲットを絞り込んで必要最小限の部数で始めてみましょう
・サイズの見直し:一般的に、小さいサイズのほうが原稿制作や発送にかかる費用が安くなる傾向にあります
・用紙の選択:アート紙から上質紙に変更したり、両面印刷を活用したりすることで、用紙のコスト削減につながります
・発送方法の工夫:定形郵便、定形外郵便、ゆうメールなど、内容物に応じて最適な発送方法を選択することで、配送費を削減できる可能性があります
なお、用紙の選択や印刷方法、郵便の割引制度については、以下も参考にしてみてください。
印刷用紙の種類や選び方について詳しくはこちら
印刷方法の種類や使い分けについて詳しくはこちら
郵便の割引制度について詳しくはこちら
変わった形や特殊加工のDMは郵送できる?
創意工夫を凝らした特殊なDMは、郵便局が定めるルールの範囲で郵送が可能です。
例えば、長方形ではない郵便物(ハート形など)は、定形郵便物のサイズ内でも定形外郵便物の扱いとなります。また、厚みや重量、サイズによっては追加料金が発生する場合もあります。
さらに、はがきの宛名面にデザイン(広告)を入れる場合は用紙の1/2以内に収めなければならないなど、いくつかのルールがあるため注意が必要です。
変わった形や特殊加工のDMを検討する際は、事前に郵便局に確認しておくと安心です。
DMの効果をより高めるには?
DMの効果を高めるには、紙のDMとデジタル施策を組み合わせたハイブリッド型のアプローチも効果的といえます。それぞれの施策によって有効なケースが異なり、両方を実施することで効果を補い合えるためです。
紙のDMが有効なケースの例:
重要なお知らせを届ける場合
商品カタログなど複数人で見るものの場合
デジタル施策が有効なケースの例:
期間限定のお知らせなど、広告期間が短い施策の場合
動画など、紙面だけでは伝えきれない情報を伝えたい場合
また、紙のDMを送付した後でリマインダー的にメールを送ったり、紙のDMにwebサイトへのアクセスコードを印刷しておいてwebサイトで情報を補足したりといったように、紙のDMとデジタル施策を掛け合わせて相乗効果を狙う方法もあります。
ターゲットの興味を引くDMを作ろう
効果的なDMを作成するためには、まず目的とターゲットを明確にし、読み手の心に響く文章を作成することが重要です。その後、見やすいデザインとレイアウトを施し、印刷・発送を行ったら、必ず効果測定を実施しましょう。
さらに反応率を高めるには、「自分宛てだ」と思ってもらえる文章の作成、具体的なメリットの提示 、結論ファーストの構成など、本記事で紹介したコツを活用してみてください。これらのテクニックを組み合わせることで、より読み手の興味を引き、行動を促せるDMになるはずです。
また、予算が少ない場合は、限られた予算の中で最大の効果を得ることが求められます。だからこそ、適切なDM作成のノウハウを身につけ、計画的にDM施策を実施することが大切です。読み手の興味を引くDMを作成することで、新規顧客の獲得やリピートの促進を実現していきましょう。
もし「自社のDM作成のノウハウが不足している」「リソースが足りなくてDM施策まで手が回らない」といったお悩みがあればマイナビサポートにご相談ください。デザインから印刷、発送までトータルにサポートいたします。
まとめ
ダイレクトメール(DM)は、新規顧客の獲得や既存顧客へのフォローアップに効果的な手段です。効果的なDMを作成するためには、ターゲットの明確化や魅力的な文章・レイアウトを考えることが大切です。本記事で紹介したコツを活用して反応率の高いDM作成を目指しましょう。

